◆各項解説◆
1,成鳥になるまでに慣れ親しんだものは、数年見ていなくてもやっぱり好き。
幼鳥の頃に食べたもの、使った巣材、とまり木などは、安心という確認ができているのかすぐに自分の物にしてしまいます。たとえば文鳥の鳥カゴに「ブランコ」をつけると、普通は異常に感じて暴れ出しブランコを取り外すまで落ち着きませんが、過去に気に入って使っていた記憶がある文鳥は、最初は戸惑うこともありますが、しだいに使うようになります。
また、差し餌に幼児用ミルクを使っていた文鳥は、手の平に牛乳を数滴のせると、急いでやってきてなんの躊躇もなくクチバシを沈めて飲み始めます。「三つ子の魂百まで」文字通り小さい頃からのお気に入りは、歳をとっても健在です。文鳥を大切にするために、その文鳥の過去も把握しておくと良いでしょう。また成長した後の10年を健康で暮らせるように、小さい頃に体に良くない物を食べさせたりしないようにしましょう。生涯「食べたいけどもらえない」ものを背負わせるのはかわいそうですからネ。
2,愛情深い反面とても寂しがりやでヤキモチ焼き。鳥や人、物、何にでも嫉妬する。
ペアで行動する鳥なので、相手のことをいつも身近に感じている鳥です。そのぶん相手のしていることに大変関心を持ちます。1人の人間を自分のパートナーだと決め込む文鳥もめずらしくありません。その飼い主に人間のパートナーAがいる場合、文鳥は嫉妬し、ライバル視し、パートナーAに攻撃をしかけます。噛みついたり威嚇の声をあげたり、わざとフンをしてみたり、嫌なことばかりします。しかし、好きな飼い主が出かけていたりすると、親密ではないものの、パートナーAと仲良く留守番をしていたりします。ケンカの種がないからでしょうか。状況に合わせて臨機応変に行動できる賢い鳥です。もちろん人物の見分けはできています。飼い主の友人などに対してはあまり意識していないようです。
大好きな飼い主が他の物に夢中なのも嫌がります。手に乗せてテレビを見ていると、こっちにも関心を示せと腕の皮膚を小さくつまむように噛んでみたり、急にどこかに飛び立って関心を引こうとします。物を持っていると、それに対して怒り出す文鳥もいます。文鳥の世界では、お互いがお互いをいちばんだと思うことが大切なようです。
3,失敗するとガックリくる。またそれを見られていると恥ずかしい。
とまり木にとまり損ねたり、テーブルの上で遊んでいてすべってしまったり、日常の行動で失敗すると、慌てて体勢を立て直した後、3秒ほど困ったように緊張しています。その様子をだれかに見られていたと知っているときは、背中の羽をクチバシで繕ったりしてなにごとも無かったかのような顔をします。うっかり見てしまったときは「心配なそぶり」はマイナスです。文鳥はますます傷ついてしまいます。できればまったく気づいていないふりをして接しましょう。
4,危険なことにはとても敏感。
文鳥は敵に食べられてしまう生き物ですので、危険なことにはとても敏感です。一度でも全速力で逃げたことのある「出来事」はしっかり記憶しています。そのことだけではなく、その前に起きていたことも記憶しているようで、次からは1秒でも早く危険を察知しようとする姿が見られます。
たとえば伸びた爪を切られて怖い思いをした文鳥が、次は飼い主が爪切りを出した時点で逃げはじめます。その次には爪切りをしようと思い始めると逃げ出します。予知能力があるのではないかと思うくらい前もって察知できるのは、飼い主の行動をよく見ているからでしょう。
飼い主は日常の飼育でもこの文鳥の性質をよく考えた上で、行動することが必要となります。そんなに怖くなかったことでも、必死で飛んで逃げたことに関して、文鳥は強烈に記憶してしまいます。ただ鳥カゴに入れようとして追い回しただけでも「避難警報発令」が出されてしまうのです。次の日からも文鳥は気配を感じて逃げ回るようになってしまいます。文鳥を追うと言う行為は、飼い主にとって仕事量を増やすだけの大きなマイナスとなります。
5,「お馬鹿さんだなぁ」と言われて許せるのはペア相手だけ。
文鳥の世界には犬のような上下関係はありません。ボスという概念もありません。あるのは対等な関係だけです。成鳥はすべて対等であり、言うことを聞いて従うのはペア相手に対してのみ、それ以外の個体には、言うことを聞くどころかなんて嫌なことを言うやつだ、と反撃に転じます。
文鳥が飼い主の手に噛みついて嫌うような態度を取っているとしたら、それは「手乗り文鳥の出来損ない」や「乱暴で性格の悪い文鳥」ではなく、単に飼い主がパートナーと認めてもらっていないだけです。それはそれで文鳥らしい立派な振る舞いですが、気持ちを察しながら優しくしないと、このような結果になってしまいます。
6,好きな相手のことは、かなり無理があっても信じている。
パートナーと認めた人間には、どこまでもついて行きます的な、一途な愛情と信頼心をずっしりベッタリと寄せ、自分の体重の2000倍もあるような大きな人間の足元や膝周りに平気で近寄ってきます。一歩間違えば文鳥は一瞬で死んでしまうのに...です。
自分の話ですけれど、あたしが横になっていた時、腕の下に潜り込んでしまった文鳥(ラーくん)、他の文鳥なら「ギャー!」と遭難声をあげるところ、圧迫されて動けなかったにも関わらずまったく無言のままでした。袖の下でなにかゴソッと動いたな、と思い腕を上げるとラーくんが...!! ラーくんは見た目まったく普段通りに元気にしていたのですが、あたしは突然倒れやしないかと半日はハラハラドキドキしていました。まったく警戒がなく、パートナーに命を奪われるかもしれないなんてことはこれっぽっちも考えていないようです。とても可愛い部分ではありますが、命取りにもなる弱点だということを忘れないようにしてください。
7,怖い相手は嬉しいことをしてもらっても信用しない。
荒鳥や半手乗り、それからノーマルに近いタイプのシルバー文鳥など、どんなに優しく接しても、飼い主に大きな恐怖心を抱いています。文鳥が一羽であれば、少しずつ、少しずつ、恐怖心を取り除き、手乗りになってもらう...ということは可能です。しかし全面的な信頼を得ることは難しく、飼い主がちょっと粗暴なしぐさをすると、驚いて逃げていったりします。
ビクッと身をかがめたりバタバタしたりする文鳥を見て「小鳥らしいしぐさ」だとのんきに考えていると、いつまでたっても仲良くなることはできません。文鳥は好きな相手の前ではカッコをつけようとするものです。不安なようすは「恐怖心を抱いている」と理解をし、落ち着いておだやかに接するようにしましょう。
8,健康でピキピキしていることを美学としている。
ケガをしている、病気である、そんな様子を文鳥はできる限り隠そうとします。文鳥の異性へのアピールポイントは健康であることだからです。寒い時期でも水浴びは日に数回したり、羽繕いを丁寧にしたり、動きを活発にしたり、見た目のきれいさにとても気を使います。
文鳥の大半はこの美しさの基準がとてもシビアで、ずっと仲良く暮らしていても、病気になってしまったり老化してしまったパートナーには冷たく当たり始めます。突っついて側に寄せ付けなくなったり、怖がって暴れているようすにますます嫌気が差して攻撃をし続けることもあります。
足手まといの文鳥が側にいると、我が身も危険にさらされるという本能なのでしょう。こうなると弱い方は餌も食べさせてもらえなくなり死んでしまいます。ペアの場合、一方の具合が悪くなったときは別居させることが前提です。けして追い回した文鳥を叱ったりしないようにしてください。余裕の無い文鳥をもっと追いつめることになります。
しかし、具合が悪くても仲良く協力し合うペアもいます。手乗り文鳥です。人間との生活を信じているので、パートナーの具合が悪くても、それによって我が身が危険にさらされることは無いと安心しているからです。
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